事例紹介

「『このまちが好き』の声があふれるジモトを共に築き育てる」という理念を掲げ、経済・政治・社会の3つの軸で地域に根ざした事業を展開する株式会社ひとのね。2024年5月の法人化を機に支援企業を増やす必要性に迫られた同社ですが、手作業による膨大なデータ管理が大きなボトルネックになっていました。
この課題を解消し、営業活動をダイナミックに効率化させるために導入されたのが、株式会社フェッドの受託開発による『案件管理・営業加速ツール』です。システム会社とクライアントという枠を超え、まるで「社外のメンバー」のような信頼関係を築き上げた開発の裏側を、ひとのね代表・中村勇太さんに伺いました。
■ システム開発前に悩んでいたこと
■ システム開発後に改善された内容
―― まずはひとのね様の事業内容をお聞かせいただけますか?
中村さん:メイン事業は、中小企業と地方自治体をつなぐ「自治体営業のミギウデ」という営業支援・代行サービスです。それ以外にも、議員さんの広報・広聴支援をする「議員の執事」や、コミュニティプレイス「きち基地」の運営など、経済・政治・社会の3つを回していくための事業を展開しています。
事業の根っこにあるのは、新卒で官公庁と仕事をしていた際に目の当たりにした、「大企業が大きな金額で仕事を受注して、下請けの中小企業に安く発注する」という構造へのもどかしさですね。「小さな会社でも、直接自治体と取引できる仕組みを広げたい」「中小企業が正当な金額で仕事を受けられる社会にしたい」という想いを持って活動しています。
―― そのようなバックボーンがあったのですね。ところで、中村さんが社内のWebシステムを整えようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
中村さん:支援する企業数を増やすにあたり、「1回情報を更新したら、複数社に同時にアプローチできる入れ物」が必須だったからです。
2024年5月の法人化して事業拡大を進めてきました。ところが当時は入札情報をスプレッドシートやメモで管理しており、1社増えれば労力も倍になる状態だったんです。このままでは自分のキャパシティを超えてしまうという危機感が、システム導入を決めた要因でした。
―― 当時、日々の業務の中で特に「何とかしたい」と頭を悩ませていた部分はありますか?
中村さん:都内53自治体分の予算書のチェック作業ですね。1冊あたり約500ページもあるんですよ。それを毎年、手作業で一つひとつめくりながら、「どの自治体がどんな仕事を、どこに発注しそうか」を見ていくんです。さすがに労力的に限界を迎えていました。
―― それは途方もない量ですね。そんな中、開発パートナーとなるフェッドの小林さんとは、いつどのような形で出会われたのでしょう?
中村さん:横浜の映画館で開催された上映会イベントがきっかけでした。普段は経営者の交流会には一切行かないタイプなんですが、たまたま知り合いから誘われたんです。「行きます」と言ったものの、想像以上に参加費が高くてびっくりしたんですけどね。
ただ「お金を払ったからには元を取らなきゃ」と思って足を運んだら、そこでフェッドの社員さんや小林さんとお会いしたんですよ。本当に奇跡みたいな確率でした。
―― まさに偶然の出会いですね。システム開発の会社は世の中にたくさんあるにもかかわらず、フェッドに依頼した決め手は何だったのでしょうか?
中村さん:事業の存在意義そのものに、小林さんが誰よりも深く共感してくれたことが決め手でした。
最初の打ち合わせでやりたいことや想いをお伝えしたときに、“技術的にできるかどうか”の前に、「社会にとってすごく価値があることだと思います」と言ってくれたんです。それで「この人と一緒にやりたい」と心から思えました。他社は比較検討しませんでしたし、する必要もなかったです。
小林:中村さんのお話を伺ったときに、「利益追求のためだけに会社をやっているわけではない」という根本の考え方が共通していて、すごく共感できたんですよね。ひとのねさんの事業は、吉祥寺という街やそこに関わる中小企業のためになる、収益力の強化以上の純粋な価値があると感じました。
自治体業界のシステム開発自体は、フェッドとしても初めての領域だったんです。ただ、社内にはさまざまな業界の開発を経験してきたメンバーが揃っていて、その経験の蓄積がフェッドのナレッジになっているんです。
僕自身の役割で言うと、初めての領域でもお客様の業務をヒアリングして分解・抽象化し、「別の現場で経験したあのパターンに近い」と照らし合わせて置き換えていきます。この変換を誰よりも早くできるのが、自分の強みなのかなと。
―― 未知の業務を抽象化して、過去のパターンに置き換える。その変換の速さと社内に蓄積されたナレッジが、初めての領域でも的確かつスムーズに開発できる理由なのですね。
小林:それは僕の価値であり、弊社の価値でもあると思っている部分です。ご提案した当初は自治体関連の知識が豊富ではなかったのですが、中村さんと何度もやり取りするうちに詳しくなりました。
中村さん:安心感というより、期待感の方が近いかもしれません。スキル以外の部分でも信頼して任せられそうだなと感じましたし、自分が想像する以上のシステムを作ってくれるという期待がありましたね。
―― プロジェクト始動後、途中で困ったり戸惑ったりすることはありませんでしたか?
中村さん:システム開発の専門知識はゼロなんですが、まったく困りませんでした。一般的な開発でよくあるような難しい要件定義書を読み込むことはなくて、かなり早い段階で「実際に動くシステムの画面」を作って見せてくれたんです。
小林:弊社では、まずベースとなる動くものを素早く作って、そこにお客様の要望をカスタマイズして継ぎ足していくスタンスで開発を進めています。言葉や書類の抽象的なやり取りよりも、現物を見たほうがお互いの認識にズレが生まれないので。
中村さん:毎週木曜の夜に定例ミーティングをしていたんですけど、いつもパソコンの画面を見ながら「ここをもうちょっとこうしたい」と話せるので、難しい専門用語を使う必要がなかったんですよね。
―― プロジェクトの進行中、定例ミーティング以外でお二人はどのようにやり取りしていたのでしょう?
中村さん:コミュニケーションとタスク管理のツールとしてスプレッドシートを使っていました。定例ミーティング以外でも、気づいたことや要望をその都度もれなく書き込めるんです。打ち合わせの議事録を読み返す手間もタイムラグもなくて、本当に無駄のない進行でしたね。
それに、こちらがメッセージを送ったときのレスポンスも圧倒的に早くて。常に並走してもらっているような安心感がありました。
小林:お客様を絶対に不安にさせたくないので、レスポンスの早さは会社として徹底しているところです。仕様を細かく詰めることを優先せず、いちど形にしたものに対して中村さんから密にフィードバックをいただいて、次の週の定例までに改修して持っていく。お互いにテンポ良く連携ができた点は大きかったと思います。
―― 開発の途中で「システムを動かしてみたらここを変えたくなった」といった方針変更や、技術的なトラブルなどは起きませんでしたか?
中村さん:画面を見ながらその場でブラッシュアップしていったので、「イメージと違った」ということは起きようがなかったですね。
小林:実は、裏側のシステム構造で大きな変更が必要になる場面もありました。ただ弊社は、画面を見ながらブラッシュアップしていく進め方をとっているので、ある程度の方針変更には対応できる体制なんです。そもそも弊社はこのやり方で進めているので、何かあっても柔軟に対応できるんですよ。
―― システム開発を進めていく中で、フェッドの体制面で「ここはよかった」と感じたポイントはありますか?
中村さん:打ち合わせの際に、小林さんと一緒に若手のエンジニアが必ず同席してくれていたんです。特定の一人だけが仕様を握っているという不安はまったくなく、複数人がシステムに深く携わったうえで理解してくれている感覚がありました。
小林:もう一人の担当者には、システムの実装部分を担当してもらっていました。これからの時代、ただコードを書くだけじゃなくて、お客様の想いを汲み取って開発方針を詰める“上流工程”を担えるエンジニアが必要になると思います。そのような意図があるので、最初からミーティングに入ってもらい、積極的に発言してもらうスタンスで育成しているんです。
中村さん:会社として若い人を育てようという誠実な姿勢も見えましたし、「将来また何かあっても、すぐ対応してもらえる」と思いました。
―― 無事にシステムが完成し、『案件管理・営業加速ツール』が公開されてから、実際の業務にはどのような変化がありましたか?
中村さん:これまで1自治体あたり1時間くらいかかっていた予算書の確認作業が、53自治体分まとめて横断的にキーワード検索できるようになり、たった3分に短縮されました。
さらに毎日のスプレッドシートのチェックや情報提供にかかっていた時間も、1つのシステムにログインするだけで完結するので、30分から15分に半減しましたね。本当に使いたい機能だけが詰まっているので、毎日必ず開いて活用しています。
―― 予算書チェックの時間が大幅に短縮され、日々の情報確認も半減したのですね。社内のスタッフや外部のパートナーからの反応はいかがでしょう?
中村さん:業務委託のスタッフからは「入力する枠が明確になったことで、作業のときに迷わなくなった」と喜ばれています。以前のスプレッドシート管理だと、自由度が高すぎて入力のルールが一元化されていなかったんですよね。
今はやるべきことや共有すべき項目が一目で分かるので、業務委託先にも入札の落札結果のデータ入力業務をスムーズに発注できるようになりました。
また、入札スケジュールがカレンダー形式で見えるようになり、お客様からは「情報が分かりやすくなった」と好評ですね。システムに新しい情報が蓄積されていくので、これから会社の大きな財産になっていくと確信しています。
―― システムが業務効率化だけでなく、社会貢献や会社の財産になっているのですね。最後に、「社内のシステムを整備したいけど何から始めればいいか分からない」という企業に向けて、中村さんからメッセージをお願いします。
中村さん:今はAIを使えば、簡単に言った通りのものを作れる時代かもしれません。でも「もっとこうしたほうが価値が出る」という、これまでの経験則に基づいた提案やノウハウの組み合わせは、AIでは絶対にできないと思うんです。
一般的なシステム会社にありそうな“ドライで冷たい”イメージとは真逆で、フェッドさんはものすごく温もりがあって、しっとり寄り添ってくれる人間味に溢れた会社なんですよ。
フェッドさんにお願いすると、自社の強力なメンバーが増えたかのような心強さを味わえます。「この人と一緒に未来を作りたいか」という人間性や相性で選ぶ価値が間違いなくあると思いますね。
今回の取材を通じて、中村さんの地域社会や中小企業への妥協のない熱い想い、そしてその想いを『案件管理・営業加速ツール』で具現化した株式会社フェッドの提案力と伴走力が、言葉の端々から伝わってきました。
言われた通りのものを作るドライな開発会社もある中で、フェッドが提供する価値はまさにしっとりとした人間性による伴走です。画面を共有しながら同じ目線で進める開発プロセスは、ITに苦手意識を持つ多くの経営者にとって安心感と確かな期待に繋がるでしょう。吉祥寺からさらに多くの“ひとのね経済圏”を動かしていく未来が楽しみになるインタビューでした。
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